はじめに
ソラキャリでは、ブライダル人財のセカンドキャリアの支援も行っています。
(参考)スペシャルインタビュー/有賀明美さん
特にママさんの復帰は、人手不足の解消はもちろんのこと、ブライダル業界における働き方改革や、個々人の人生100年時代のキャリアデザインなどの点からも重要で、積極的に支援していきたいと考えています。
そこで今回は、ソラキャリのキャリアカウンセラーやサポーターとしても活動されている3名のママさんと一緒に、具体的なエピソードもまじえながら、「仕事と家庭の両立」について考えてみました。
特に、これから仕事復帰を考えている(悩んでいる)ママさんや、それらを受け入れる職場の担当者の方々にご覧いただき、何かお役にたてれば嬉しく思います。ぜひ、ご覧くださいませ。
◇星野 莉奈(Rina Hoshino)
東証1部の人材系企業に約10年在籍しキャリアアドバイザーとして2000人以上の転職相談の経験あり。と同時に、企業側が転職者に求める要件も押さえ、両者が満足する転職サポートを実現してきました。
自身も1児の母として、2019年4月に仕事復帰。仕事と家庭をどうしたら楽しく両立できるか実証実験中です。
◇山本優貴(Yuki Yamamoto)
ブライダル業界経験 15年。
現在は、まさに今話題の【式場トラブル】について、ウェディングコンサルタントもしています。色々な意味で「後悔のない結婚式を」をコンセプトに活動している、フリーウェディングプランナーでもあり、プランナー育成コンサルタント、学校講師など好きな仕事をしているパラレルワーカーです。働くことも大好きですが、『幸せな家庭あってこその仕事』という信念を貫いてます!
大学時代に、就活で受けたブライダル企業にはことごとく落とされ、採用となったのは、飲食業1社だけ。ウェディングプランナーの夢がどうしても諦めきれず、スクールに通い、念願叶って転職。
ブライダル業界でのプランナー及び責任者経験、法人営業経験を活かし、後進の育成に注力しています。
ブライダル業界で、正社員(フルタイム・時短)、パート、フリーランスと、子供の成長に合わせて様々な働き方を実践してきました。
◇青柳 綾子(Ayako Aoyagi)
ブライダル業界経歴15年
学生時代アルバイトをしていたレストランにてウェディングプランナーという職種と出会いすぐにウェディング業界に飛び込みました。レストラン・専門式場でのプランナー、新人教育をしてきました。出産の為一時業界を離れていましたが、ウェディングという仕事を忘れる事ができず育児と両立をしながらウェディング業界へ復帰。現在はウェディング事務、施行委託業務を請負っています。
小学1年生の息子と日々格闘しながら充実した日々を過ごしています。
INTERVIEW INDEX
青柳
私の場合は0歳8ヶ月で子供を保育園に預けて、とても心苦しかったです。一番最初は、以前に在籍していたブライダルの会社へ事務職で復帰しました。でも、子供のことですぐに帰らざるをえなかったことも多く、職場は「事情は理解するけど、仕事は、、、?」といったような雰囲気でした。私を一人前の戦力としてみてもらえず、最終的にやむなく転職することにしました。
子供を保育園に預けて半年。子供は1歳半となり、次はブライダルから離れて人材会社へ遷りました。ここは、(周りにママさんが誰もいなかった前職と違って)、ママさんしかいない職場でした。ここでは前職の、「またあの人だけ先に帰って、、、」といった冷ややかな目はなくなって、「(そんな状況であればお子さんのために)すぐ帰ってあげて!」とか、業務用携帯を渡されて「仕事が終わらなかったら、家でやればいいから」と言われました。
また、この会社では(ブライダルから)職種が変わり、いろんな人の話しを聞けるようになりました。同僚も幅広い年齢層のママさんで、子供の悩みも相談しやすく、ストレスなく働けた職場でした。
でも、その後にまた(別の)ブライダルの会社へ戻ってしまいました(苦笑)。やっぱり結婚式の仕事が好きなんですね。
子供からは、今でも「ママ、もっと早く帰ってくればいいのに、、、」と言われることもあります。でも、運良く親も近くにいたり、助けてくれる友人もいて、子供を迎えにいってくれたり、ご飯を作ってくれたりと周囲に支えられて、本当に感謝しています。おかげさまで、私は忙しくも充実した日々を過ごせています。
星野
私は月齢0歳6ヶ月で子供を預けて職場復帰し、3か月が経ちました。今の一番の悩みは、子供の予測不可能な体調変化です。
子供はよく熱を出すと聞いてはいましたが、家では熱が無かったのにいざ保育園で体温を測ると登園停止になる37.5度を超えることもあり。このような状況で、仕事と子供の調整をどうつけるか、未だに悩んでいます。
この悩みの解決策として、夫やベビーシッターさんの力を借りることにしています。キッズラインや区のファミリーサポートなどの活用です。色々と登録し、家の近くで「この人呼びたい」という人をあらかじめ調べておいて、急に呼びたくなってもすぐに頼めるようにしています。
幸い、私が勤める会社はリモートワークOKなので、まだベビーシッターさんにお願いしたことはないんですが、自宅で高熱でうなされる娘を看病しながら、職場通りのペースで仕事をすることに難しさを感じています。ハイハイしだした娘が家の中をめちゃくちゃにしたり……目が離せません(苦笑)。
職場からは「リモートワークの環境が整っていれば、職場にいる時と同じように仕事ができるだろう」と思われているので、そのギャップに悩まされます。ここは、チームのメンバーとコミュニケーションを取って改善していかないといけないと考えています。
山本
私の場合は一切在宅をしないで、カフェに行って超集中して仕事をしています。子供たちがいると、全く仕事にならないことが分かりまして。8歳の3歳の二人とも、寝ていても私が隣りにいないとすぐ起きてくるので仕事はできず、、。でもそのおかげで、私は子供たちと同じく、毎日10時間睡眠の生活です(笑)
青柳
私の場合は夜の時間を有効活用しています。うちの子供は一度寝たら起きないので。自分が起きていられさえすれば、夜は自分の時間として仕事を出来ます。両立させる働き方は、人それぞれなんでしょうね。
星野
私も、夕方早めに帰宅し、保育園のお迎え・食事・お風呂・寝かしつけをした後、夜に残りの仕事をしています。一方で、朝4時に起きて仕事をする知り合いもいるので、人それぞれ自分に合った働き方があるんだと思います。
山本
出産前よりも、時間の制限をとても感じるようになりました。かつて働いていたブライダルの職場はけっこうダラダラしていたように思います。私がブライダル業界に入った15年前は19時になってからコンビニへ夕飯を買いに行き、23~24時まで職場で仕事するといった様子でした。先輩たちもそうやっていたこともあり、私たちもそのまま同じようなスタイルでした。
その後、自分が社内で初めて育休を取り、そこから復帰したときに、この意識を変えるのにはかなり苦労し、意識改革が必要でした。
青柳
私も出産前のブライダルの会社にいたときは同じような感じでした。電話を留守番電話にセットしてからがデスクワークの開始でそこから終電までやる、といったような生活でした。
山本
そうそう。定休日に出社して仕事、みたいなことも普通にありましたよね。両立して気付けたからこそ、今の自分の立ち位置でも出来ることから、良い方向へ変えていきたいなと思っています。
青柳
ママさんのいなかった職場では、「子供ってそんなに熱でるの?」等とよく言われたものでした。他方、ママさんしかいない職場では子供や育児への理解があり、子供に何かあると「帰りな、帰りな」といってくれて、とても仕事がやりやすかったです。
その後に転勤することになり、別のブライダルの会社でプランナーとして働くことになりました。このときは子供を24時間営業の一時保育に預けていたのですが、「ママ、僕は何でこんなところ、知らないところに預けられないといけないの?」と子供が取り乱すこともあり、難しい時期でした。前の事務職の仕事は平気でしたが、このような状況でプランナーの仕事は、中々難しかったです。
その後に東京に戻って、単発でブライダルのお仕事を引き受けることになりました。ここでは、お客様に予めこちらの事情を説明するようにしました。「子供がいるので、電話の時に少しうるさかったら申し訳ございません」とか。そうするとお客様も理解して下さり、そのうちに「お子さんはいくつなんですか?」といったような感じで関係性ができ、そうなると、だいぶ楽になりました。
逆にそうした事情をお客様が知らないと、会社に電話しても私が不在のことが多く、「あの担当者はいつもいない」等とクレームになりかねませんでした。
このように、私の場合は最初に事情を説明した上でお仕事を任せてもらえると、その後のやり取りがスムーズになり、私自身の気持ちも楽になりました。
山本
私の場合は当時の会社に前例がなく、「自分で切り開いていかないと!」いうプレッシャーがありました。法律や制度のことなどを全て自分で一から調べあげて、会社に交渉したり、会社や後輩にも説明したりしていきました。
大変ではありましたが、夫婦両家とも祖父母が近くに住んでいて、困ったときには子供を任せられる環境でしたので、支えられました。
星野
私は両親が近くにいないので、夫と二人で一緒に乗り切っています。先月、一泊二日の出張があったのですが、その間は主人がワンオペで子供を見てました。
子供が生まれたときから「育児を「手伝う」ではなく、「一緒にやる」んだよ」と話していたんです。主人をしつける、ではありませんが(笑)、母乳以外はおむつ替えも、お風呂も、離乳食作りも、全カテゴリーの育児をお互いが出来るようにしています。
子育ては母親に負担が偏りがちだと思います。職場の理解や協力を得られるようにするはもちろん大事ですが、家庭でも関係者の協力を得られるように働きかけることも大切だと思います。
青柳
以前までブライダル業界では、20代は正社員ですが「結婚するイコール辞める」が多くの業界人の感覚で、復帰する人もまずいなかったですよね。それが当たり前の時代でした。
山本
そうですよね。今は、結婚・出産後もブライダルの仕事を続ける人がだいぶ増えてきましたよね。現場の人でも。とても良いことだと思います。
山本
私の中では解決し、ノーストレスで働かせて頂いています。業界自体は、まだ改善すべきところがあるかと思いますが。ここは、出来ることから貢献できればと思っています。
青柳
強いていえば、子供を預けられる環境があるといいですよね。私には近くに親がいるので助けてもらっていますが、ご夫婦だけでやっている場合は本当に大変なので。
また私の場合は、仕事に夢中になり過ぎて、子供と一緒にいなさすぎるのも改善していきたいと思っています。
山本
子供と一緒にいる時間については、私も考えました。
昔、保育園へ子供をむかえに行くのが19時を過ぎてしまうことが続いたとき、施設から「他の保育園を紹介しますよ」と言われました。今の自分の働き方ではダメだと気付かされ、これがきっかけで、職場を時間の融通が利く会社に変えました。
育児にも質と量の議論がありますが、私の場合は最低限の量は優先しようという価値観です。これにそったルールを自分で決めて両立しているので、今はクリアになりました。
でも、私も仕事が楽しいとついついそっちに流れてしまう時があるので、気をつけなければと思っています。
山本
出産後も仕事をすることで、自分の時間を確保できるようになりました。通勤と仕事のときが、私の時間です。気持ちのメリハリをつけられるようになりました。
星野
私は仕事復帰して、子育てとは別の世界(仕事)ができたことで、育児をより客観的に見れるようになりました。仕事にかけられる時間は短くなるので、その分、質を上げようと思えるようにもなったのも大きな変化です。
保育園に預けると、私一人で育児していたら出来ない経験をさせられて、子供にとってもメリットがあるし、私自身も仕事を通じ、お客様から感謝されるとやりがいを感じます。仕事と家庭の両立は体力的には楽ではないけれど、私の場合、仕事があることで精神的には良い状態でいられるんです。
青柳
出産時は一瞬専業主婦に憧れましたが、一週間で飽きました。「私は毎日いったい何をしているんだろうと・・・笑」。(専業主婦の皆様には申し訳ないのですが)私の中では、こんな時間の使い方はもったいないなと。また、「○○くんのお母さん」ではなく、一個人として自分を見てもらえる場所に行きたかったです。さらに、外に出るといろんな人との関わりができるのも私には楽しいです。
確かに両立は最初大変ですが、子供も年齢を重ね、「ママは仕事」と分かってくれてくるなど、お互いに成長するのかなとも感じています。家事はあまりしたくなくて、家の中は決してキレイとは言えませんが(苦笑)、何よりも心地よいです。
山本
仕事と家庭の両立に、完璧を求めない方がいいかなと思います。例えば掃除をきっちりやろうとすると、その日に子供と遊ぶ時間がなくなります。だったら、別に1日くらい掃除をしなくてもいいかなと。そう気持ちを切り替えることで、だいぶ大らかになりました。
青柳
そうですよね。うちは「今日はレトルトでもいいかな」とか(笑)。子供はポケモンカレーが好きで、ご褒美なんです。それだと、作るのも片付けも楽ですし。食べられているから、まぁいいかなと^^
青柳
仕事も家庭も「今まで通りに続けていかないと!」と思うから続かないのではないかな?と思います。完璧は難しいですが、そこを目指し悩むよりも、出来ない選択肢で悩むよりも、まずは1日だけでも仕事でリフレッシュしてはどうですか^^?
というのが私からの提案です。
山本
状況に合わせて変えていけば良いのかなと思います。私もよく後輩から相談を受けるときがあります。「"(結婚・出産後に)現場は続けられない"と言うけど、今の仕事でどの部分を他の人に任せられるか、信じて任せることも仕事のスキルだよ」とアドバイスしています。「今までと同じものを、同じようにやらないといけない」と思っている人が多いような印象を受けます。でも、そうじゃないんだよと。完璧にこなすことを目指さなくても大丈夫。
あとは、武器を持つことですね。他の人にはない、自分にしかない強みで貢献できる武器を。そうしないと、この会社で通用しても外では通用しないよ。自分なりの武器を、強みを持とう。そんなことも、後輩達には日々伝えています。
星野
仕事と家庭の両立は、全然特別なことじゃないかなと思います。私の場合、子供ができて、「やらないこと」を決めました。例えば家事はやらない(笑)。ロボットや家電あるし。主人や他の人に頼めるところは頼み、自分ができる最低限のことはしっかりとやる。
両立に対して躊躇している方々は、少なからず、仕事をやりたい気持ちがあるんだと思います。なので、自分のその気持ちを大事にして、「それを叶えるためには何をすればいいのか?」という視点で考えていけば良いのかなと思います。完璧を求めないで。
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